不良が学校の窓ガラスを割る理由

gakkou_madogarasu
尾崎豊の有名な曲の中に、夜の校舎で窓ガラスを壊して周ったという歌詞がある。私が子どもの頃は不良少年不良少女があふれていて、実際に窓ガラスを割るという非行行為に走る者も少なくなかったのだろう。ドラマの中で不良が窓ガラスを割るのは、大抵は学校だ。自分の家ではない。そして不良が学校の窓ガラスを割る理由というのも、学校という狭い世界でのみ、自分の力を誇示したいからだ。昔は窓ガラスも今ほどしっかりしていなかったから、小さな石だって投げて当たれば割れることがあった。不良の振り回すちょっとした武器がヒットすれば、簡単に、そして派手な音を立てて割れてくれるから、物を破壊して目立とうという目的は達せられる。

しかし最近はどうだろう。成人式シーズンになると、地方の成人式会場で、派手に暴れ逮捕される新成人のニュースが毎年必ずみられるが、全体的には昔に比べ、都会でも地方でも、不良が減ってきているのではないだろうか。今の若い子たちには、窓ガラスを壊して力を見せつけようとするのはむしろダサいことで、悪いことはこっそりやってほくそ笑む。目立とうとするのではなく、横並びで同じ位置に居ることが、何より心地いいようだ。昔のように電話で呼び出して遊んだり、決闘したりしない。メールやラインでつながって、ケンカだってスマートフォンの中で繰り広げられるのだ。時代は変わった。

窓ガラスも今と昔では随分違う。石が当たっただけでも割れてしまっていた時代から、泥棒が鍵を壊すために割ろうとしても、そう簡単には割ることができない強化ガラスも出てきた。長かった女の子のスカートはパンツが見えそうなくらい短くなった。時代の変化はいつから始まっていたのだろうか。窓ガラスの方が先に進化をし、力を誇示するために割ろうとした不良が、割ることができずに更生したということはないだろうか。